体と心

甘酒は米麹なら砂糖不使用だし健康にいい!…はどこまで本当なのか

「飲む点滴」とろっと白くて優しい甘さの甘酒。
寒い日に温めて飲むと美味しくてポカポカして元気が出ます。
栄養豊富で健康にいい発酵食品と言われる甘酒ですが、本当に体にいいことばかりなのでしょうか。

 

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甘酒は米麹と酒粕の2種類。砂糖不使用なのは

よく甘酒は砂糖不使用だと聞きます。
それだけ聞くと

「砂糖を使っていない!何だか体によさそう♡」

と、普段から甘いお菓子大好きな私は感じるわけですが、実はこれはもう少し正確に書く必要があるんですよね。

まず、甘酒は大きく分けて

  • 砂糖が加えてれていないもの
  • 砂糖が加えられているもの

の2種類があります。
米麹とお米(炊いたご飯)から作られているものには砂糖が使われていません。麴菌がお米のでんぷんを分解してブドウ糖ができるので、砂糖を使わなくても甘くなるのです。

もう一つが酒粕を使った甘酒です。
酒粕とは日本酒のもろみを圧搾した後に残る白い固形物。
これを水やお湯で溶いて砂糖を加えたものも「甘酒」と言います。酒粕には甘味がないので砂糖を加えるんですね。

米麹と酒粕…
何だかとっても別物に見えるお二方ですが、何故だかどちらも「甘酒」と呼ばれます。まぁ、白く濁った見た目は似ていると言えば似ていますが、中身や風味は全然違います。

そして大きな違いがもう一つ。
米麹の甘酒は「酒」と言いながらアルコール分は含まれていませんが、酒粕の方は日本酒を絞った残りですからアルコールが含まれているんです。こちらは子供や妊娠中の方、運転する人などは飲めないですね。

米麹の甘酒は砂糖不使用だからいくら飲んでもOK?

さて、「砂糖不使用」と謳われている米麹の甘酒。
これなら砂糖が使われていないから「いくら飲んでも大丈夫!」な健康食品なんでしょうか?
砂糖が入っていないのにこんなに甘くて美味しいなんて何だかお得。
ついつい沢山飲みたくなってしまいますよね。

で・す・が。

砂糖不使用という言葉にちょっと勘違いをしてしまいますが、実はこれ、「糖分が含まれていない」というわけではないんです。
米麹の甘酒の甘味は「ブドウ糖」という糖分の一種で、糖分はちゃんと含まれているんです。

ブドウ糖とは

砂糖にも色々な種類がありますが、ブドウ糖はその中でも単糖類です。単糖類とは、果物やはちみつに多く含まれているもので、分子が1つだけの糖類です。
これに対して普通の砂糖は二糖類と言います。2つの分子がくっついた砂糖なので、消化吸収のためにはこれを分解して単糖にする必要があります。
ブドウ糖は分子が1つだけの単糖のため、吸収がとても速いのが特徴です。

カロリーについては、

  • グラニュー糖…387kcal/100g
  • ブドウ糖…335kcal/100g

カロリーで見るとブドウ糖がやや低いですが、やはり糖分ですので沢山食べると太りますし、摂りすぎると体に良くないのは普通の砂糖と同じなんです。

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いやはや…都合のいい勘違いをしていませんでしたか?私はしっかりしていました(^^;)

甘酒は健康にいい「飲む点滴」なの?

甘酒はよく「飲む点滴」と言われますが、これはどういうことなのでしょうか。

点滴というと衰弱した時にするものなので「体の状態を良くしてくれる」というイメージですね。

ですから「飲む」点滴となれば何だかとっても体によさそう…
更に、こんな甘くて美味しいなら、どんどん積極的に摂取しようじゃないの!
って考えてしまいます。(私はそう考えてました笑)

ですが、「飲む点滴」と言われるのは実はもっと単純な理由です。

例えば高熱で食事が摂れない時などに病院でしてもらう点滴の成分は、主にブドウ糖なんです。
これはブドウ糖が吸収されやすく、すみやかに栄養補給ができるため。
「飲む点滴」と甘酒が言われるのは、ブドウ糖が多く含まれているからなのです。

ですので、「何だかよくわからないけどとてつもなく体によさそうだぞ!」「体にいいんだからとりあえず沢山飲んでおこう!」というのはちょっと曲解です。

確かに、疲労でぐったりした時などに甘酒(ブドウ糖)を飲めば、素早く吸収されて即座にエネルギー源にはなります。
しかし。
普通の砂糖よりも吸収されやすいというのは、つまり普通の砂糖ならばゆっくりと消化・吸収されて緩やかに血糖値が上がっていくところ、ブドウ糖だと血糖値が急に上がるということです。

血糖値が急に上がると、どんなことが起こるのでしょうか。

急激に血糖値が上がると、今度はそれを下げるためにインスリンが分泌されます。すると今度は反動で低血糖になりやすくなります。

インスリンが急激にたくさん分泌されると脂肪が蓄えられやすくなり、肥満の原因にもなります。

血糖値の乱高下を繰り返すことで膵臓に負担をかけ続けると、インスリンが分泌されなくなり糖尿病になります。

血糖値が急上昇すると血管の内皮細胞が傷つき、動脈硬化の原因となります。

…血糖値の急上昇、怖いですね(◎_◎;)

もちろん、

甘酒を飲む≠血糖値の急上昇

ではありませんので甘酒を悪者にしないでください。ですが、空腹の時に沢山飲むことを日常的に行ったりすると間違いなく健康を害してしまいます。
できれば先に野菜など他のものを食べて緩やかに血糖値を上げ、その上乗せで少しずつ飲むのが体に負担をかけない飲み方です。「デザート(甘いもの)は食後」の原理ですね。

ひとこと

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「飲む点滴」「発酵食品で体にいい」などの情報が先走ってちょっと間違った捉え方をされている甘酒。
確かに健康に貢献する部分もあるのも事実です。
でも沢山摂取すればするほどいい!みたいなのは勘違いですね…
「何事もほどほどに」最終的にはやっぱりこれでしょう!

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